不意に鳴る電話の向こうには木の板があって 私はその完成形を知っていて 彼は切る形と術を知っている

最後に水の中で会話したことは 水面に弾ける声が好きだった 雪はいつの間にか雨になっていて 意識の遠くに降る雨音を聞いていた 電車が尊いものだった頃 いつのことだか忘れてしまった