眼を塞いで夢になる

取り残された歯ブラシが
腕を伸ばして倒れてる
笑いの消えたまな板が
漂泊しながら止まってる
完璧だった食卓は
退廃する様相でこちらを見ている
怒り狂って崩壊している
無機物の中で塞いでる
泣き叫ぶ妹を宥めている
夫になれない男が荒む
なりきれなかった食卓で
女の臭いが染み付いた
感性という過去を捨て
取り残された輝くシンクに
虚ろな眼をした患者が一人
ぬくもりの準備をして待っている
睡眠薬を腕に抱えて
眼を塞いで夢になる