2010-06-04 鳶飛魚躍 真夜中の病棟に船が軋む衣擦れの音 苦しく思い悩む夜だった。 凪いだ海はいつの間にか湿気を携えて時化る。 人は皆、一人孤独に船を泳がせているだけで 私が漕ぎ出した船はひどく弱弱しく不安定なだけ。 オリーブの枝を咥えて飛んでいく文鳥 壊れた船の接木を握り締めたまま溺れる子供たち 「ぼくらの魂が船を漕ぎ出すとき」 私の船がもう少し強くなりますように。 あの人のように力強く生きていけますように。