ブン子のフィナンシェ

今年のバレンタインは誰にも渡さずにいたのに
逆に何人もの人にもらってしまったので
せめてお返しがしたくて、今年はフィナンシェを作った。
大好きなフィナンシェ
正確には、作ってた。
有給の朝に作りかけた中途半端な数のフィナンシェ
地震で流れ、結局渡すこともなく。
いつものお礼に、と、ちぃ子と紅氏に食べてもらった。
咲きもしない桜の造花はとてもしんみりした表情で
何だか寂しいフィナンシェ、またいつか作れたらいいな。


地震後の様子が気になったので、BRBARへ。
聞くと、下にマットがあったせいか奇跡的に割れなかったらしい。
瓶もグラスも何一つ。割れたのは、床に置いてたホワイトラムの空き瓶。
無力な胸の痛みが紫色のストールに沈んだまま浮いてこないので
スロージンとopalneraで1杯ずつ作ってもらった。
光のない新宿はお葬式のようで、人々は背を丸めて足早にかけていく。
剥き出しになった燃料棒は、死神の表情で顔を覗かせて笑ってる。
このまま死ねたらいいなぁって思ってる人結構多いんじゃないの、なんて
余震に揺れる一瞬に、憂鬱が隙間から入り込んで
少しずつ少しずつ心を奪われていくような気がする。
ブヨブヨブヨブヨって電気クラゲみたいなエリアメールに、痺れて動けなくなる。