遠い空の下

早朝
かつては南下するものだった湘南新宿ラインを北上して乗り継いで
群馬、遠い空の下、身軽に小旅行。
仕事したくても出来ないように、全部東京に置いてきた。
レンタカー借りて赤城山へ。秘湯、赤城温泉を貸切で満喫。
喫茶虫の音で美味しいカレーを食べて、お茶飲んで、畳に寝転がり
締め付けていた頭のネジが全部吹っ飛んでしまった。
夜は前橋で怠雅くんのライブ。
東北の大震災以来、彼の演奏はさらに深みを増したように思える。
人々の気付かないうちに、そっと心の奥に忍び込んでくるみたいに。
きっと皆、通り過ぎたことさえ気付かない、それほどに優しく。
誰もが遠く忘れたことにした出来事を、忘れていないと気づかせる。
思い出すのは自分の仕事。
赤城颪に巻き上げられた髪を押さえて、ふっとシーンがよみがえる。
目を閉じて、浮かんだその後姿は誰だったんだろう。