田能村直入「百花」

午後はtgと合流し、広尾の山種美術館へ。「百花繚乱 -桜・牡丹・菊・椿-」を観に行く。
田能村直入という人の「百花」という作品が目に留まった。
全長3m程の長い巻物に、百種類の草花が描かれているもの。
絢爛で迫力のある美しさに、確かに心を奪われる。
でも、私があの絵から感じたのは、おどろおどろしさだった。
例えるなら、百鬼夜行の妖怪たちのような立花様。
開けてはいけない箱を開けてしまったような。
次の一瞬には全部枯れて朽ちてしまいそうな。
大体、1年をかけてあちこちで咲く100種類もの花々を
一気にまとめて咲かせるなんて、そんなぶるじょあ(・3・)なことやってたら
何だか罰があたりそうな気がするよ。なんて狂宴だろう。ま、それがつまり百花繚乱か。


「政府に100種類の草花の絵を書きなさいって指示を受けたんだけどさ、
 100種類も花の名前を思い出せないから、とりあえず試作で書いてみますわ」
みたいな感じの、田能村直入自身のコメントが書かれてて、
私はなぜか、絵に皮肉めいたものを感じてしまった。
「あんたの指定通り、約束通り100種の草花の絵を描いたぞ。文句ないな?」
みたいなの姿を勝手に想像してた。今じゃわからないことだし、そんなことはないのかもしれないけど。
でもあの絵は美しさ以上に何か違うものを感じる。


でも行って良かった★