いちばん大切なものは?


それから、こう思った。<ぼくはこの世に一輪だけの、財宝のような花を持ってるつもりでいたけど、ほんとうは、ただのありふれたバラだった。あとは、ぼくのひざまでの高さの火山が三つ、でもそれも、たぶんひとつはもう永遠に消えたままなんだ。そんなものだけじゃ、ぼくはりっぱな王子さまにはなれないよ……>そうして王子さまは、草の上につっぷして、泣いた。





サン テグジュペリ作
河野万里子訳
星の王子さま』より抜粋