Round, little Heartbreaker

黄砂色の空が気になって非常階段に出ると、東の街が嵐に包まれているのが見えた。灰色のビルは雨に射たれ、遠い雲塊がこちらに流れてくるのがわかる。ほんの数十秒のうちに豪雨が唸り始めたので、慌てて職場に戻った。悲しい雨の音、打ち付ける雷、怒り狂う誰かの激情のような気がした。


私が唯一悩みを打ち明けることが出来ていた大親友が、夫婦ごと福岡に帰ることになった。横浜にいて会おうと思えばいつでも会えたから、とても寂しい。大学から続くジョナサン会議は、また一時先までおあずけになっちゃうな。誰にも胸を開けなくなる。心から溢れる悲しみに埋められて、涙の海に胸まで浸かってしまいそう。


目に見える世界は、中吊り広告と同じようにぶら下がっている。日を重ねる度に遠ざかる感じがしている。急行から各停に乗り換えるように、時間をコントロールした気になっている。世界と距離を置くごとに、その心とも離れていく気がして悲しい。鳥鳥の羽根をまとった悲しいカラスのように、端切れを縫い合わせたおとぎ話のように、漫画に出てきた悪役の回想ように、日々はフィクションの繰り返し、演技力だけがモノを言う。



本当の心の奥底だけはもっとシンプルに、もっと身軽に、飛び跳ねていたいな。