「悪そうな奴と大体同じ」

ちょっとした調べ物、そしてトーマス・ステュルートの写真が待ちきれなくて国会図書館へ。2000年に開催された近代美術館でのパンフレットも閲覧することが出来た。新宿、渋谷、山口、写真集「心象」に載っていたのは、日々どこかで目にしてふっと消える日常。意識に上る事のない風景。彼が追い求めるのは、自分の心を表すものではなく、自分の心に飛び込んでくる新しい世界。描かれていた「心象」が胸の奥に入り込み、やがて溢れ出し、空気の泡のように弾けて消えていく感覚を覚えた。


肝心の美術館シリーズで目に飛び込んできたのは、1999年に上野国立博物館で披露目された「民衆を率いる自由の女神(ドラクロワ)」を観る人々の写真。これだ、って思った。



ある単語を思い出すことが出来ず必死に思い出して苦しんでいる時、他の人がその単語を言ってくれた時の胸の清々しさのような。尊敬している先生に背中を押された時の力強さのような。求めていた感覚を確かな力で形にされたような気がして、全身がぞわぞわして、気持ちが良かった。胸がいっぱいになって、その後の予定全部キャンセルして家に帰ったわー。



2000年のパンフに載っていた市川政憲という人の文章が素晴らしくて、写真じゃなくて文章を複写してきた。「無関心への抵抗」と書かれた2000年の文章は、11年経った今も胸に響いてくる。「皓皓と照らし出された西洋の名作と黒山の人だかりとの関係は、この名画のテーマと符合する。この国民の歴史的無意識を形成する西洋のあり方と集合的無意識の闇の深さをあらためて思い知らされる(抜粋)」


この絵、私の世代だとdragon ashのイメージ。grateful days。週末、久々に再開したtwitterから泥水のように流れ込んでくる情報、騒がしい遠くの人々、執拗な人たち、倦怠感、窓の金魚。土曜自主研修が終わった空白に満たされた養命酒みたいな篤さに、何かまだ胸があっぷあっぷして、うまく言葉にならないや。



ドラクロワ写真は↓からお借りしました。無断ですみません。いや、むしろそれ買います(笑)
http://shoppingfeed.jp/items/index?icd=PH00183&dm=flotsam.up