Sense or Reality

真夜中自転車を走らせていると
色々なものが見えてくる。
終電間際の駅のスピードに
浸み込んだ汗と煙草の匂い
男の子が女の子を送ってく
湿ったヴェルヴェットの舌
東新宿の子供たちの放課後
トラックよりも巨大な光ケーブルの糸巻き
警備員の双剣みたいな赤い警棒
遠くの人々にまで目を向けると
考え事が進まなくなるので敢えて見ない。
軽く1冊の文庫本でも読んだみたいに
家に着く頃には、みんな夢だったと思えてくる
今日をリセットしないと、明日にはならなくて
明け方に取り残されれば、昨日が続いていく
tgの歌の歌詞みたいだ。
長崎帰りたいな、
外海の夕焼けと白い教会を観に車を走らせたい。
静かな場所で、静かに海を見ていたい。
人々の尾鰭は苛立を撒き散らしている
職に有りつけない金魚が路肩で死んでいる
世界は情報と刺激が多すぎるから
出来事なんて、目を閉じて忘れてしまうくらいが
ちょうどいいのかもしれない