hitchhiker's choice


朝起きると腿の痛みは大分退いていたので、着替えて善福寺川へ出掛けた。
軽く身体を回して走り出したけど、でも
僅か100m過ぎた位で痛みに耐えられなくなってしまい、
結局立ち止まって引き返し。
骨折や捻挫といった故障はこれまで一度も経験したことがなくて、
走りたいのに走ることが出来ない悔しさは初めてのことで
なんだか虚しく悲しかった。


世界がじわじわと冬に浸り行く様はとても美しい。
日に日に透明になっていく空気を埋める木葉と花は色褪せているのに鮮やかで
目覚めた私の眼のほうにシャープがかけられているみたい。
温かく上気する体、前に前にと背中が押されていく感じを
走りながら楽しみたかったな。悔しい。


ちぎれた筋繊維はさけるチーズのように
めりめりと音を立てて更にちぎれていく
小腸の内側で掌の海岸線を辿り
運命線は境目だと信じて右往左往する
世界を乗り継ぐ人々の、フラクタル