渋66

昔の言葉をつぶやけば
世界に色が消えていく
空から雨が降ってきて
歪みはじめる雑居ビル
飛んで止まらぬ上昇機
無言の顔が嵐になって
視界が螺旋を描いてる
いつかどこかで見たような
いつしかそこに居たような
何かを想っていたけれど
雑誌で読んだだけかもと
思い出せない夢宛ら
感覚だけが残ってる
暗闇に
懐かしい声が聞こえてきて
涙がぽろぽろ落ちてきて
誰かに聞かれた気がして
誰かに見られた気がして
そっと目を開けば
窓の外に
ただいつもの街