ミニチュア通りで


レッスンの隙間に扉を開いた喫茶店は、鞄を抱き締め縮こまる老人で満席。
隅に乗せた紙袋を手元に引くよう注意する女性店員の
言葉がわからず狼狽する老人は明日にも死ぬ気がして
またきますって人混みへ塗れた。
視界に花瓶の底みたいな匂いが広がる。

厚いコートにひしめき座る碇豆のような老いの匂い
横丁やG街に喜び浸る人間と同じ
何もかも過去に向かって
時に抗う気がして
嫌なんだ。


左、今時のマルチ解説を熱心に聞く女性二人を懸命にデッサンしている(ボールペン)男の絵は髪の毛が針みたいに尖っている。
右、とても悲しそうな顔をして縮こまる女性のダウンコートから羽根が刺々してT'sTeaに浮かぶ偶然を見る。
大ガードに着物姿で嘆かわしい感じの成人に色々思ったけど
でも成人式にも卒業式にも参加せず親を泣かせた私より偉い、立派な大人だ。


LABI東北東、満月がとてもとても綺麗。
逃げ場はないけど歩みを止めずにいます、だから
いつかまた時が動き出しますように。