灼熱のアスファルトの上を歩いている。
他人の汗や腐ったゴミの臭いがしている。
階段を下りると、ぱっと視界が広がり
遠く一面に大きな砂漠が広がっている
シルクロードの隅の街らしく、沢山の商人や業者、ITエンジニア、個人客などが
崩れかけた砂のマーケットで取引をしている。
真っ赤で質の悪いペルシャ絨毯、数年前に流行したワンピース。
いつの時代のものかわからないアジアの楽器にはびっしりとホコリが積もっている
どこかでみたことのある表情をした民芸の人形が片隅に立て掛かっている。
父親の大きな棚に飾ってあったはずだと思い出している。
体にぎゅっと力を入れて、新宿の地下街のような人々の流れをすり抜ける。
砂の家屋の隙間から青い空を見上げると、赤いシクラメンの向こうで誰かが手を振っている。
先に宿屋に着いていた男が、窓際から私を見ていた。
彼のそばに行き、砂漠を眺めると、遠く向こうから木箱が流れてくる。
いつか夢の中で海を流れていた、鯨肉が入った木の箱。
どんぶらこ、どんぶらこと砂漠の砂の上を流れていく。
木の箱に混じって、大きな鯨が通り過ぎていく。
彼と二人、それを眺めていた。
こんな夢を見た。