最終日


帰省中、何度も
「お母さん お母さん!」
と泣き叫びながら目が覚めた。
最終日の朝もそうだった。


何も予定を入れず、ただ部屋でのんびりして
母親と少し話をした。
帰省の主目的
母親は何度も泣いて、私は何度も涙を流した。
母親は何でも一人抱え込んで苦しんでしまう。
母親が父親と結婚してすぐの話。
私がお腹に居る中、毎晩毎晩祖母の家に歩いて通って(わされて)いたらしい。
沢山我慢する母親のお腹は時々きゅーっと硬くなっていたらしい。
私はその時に何を感じとっていたのだろう。


歩きながら涙が止まらなくなる、
私と同じ苦しみ方をする
母親と泣きながら、上京前に癌になったあの時を思い出した。


フリー仕事やサポートやらで相変わらず忙しいけど、
それは言い訳だ。
長崎には帰りたくないと思っていたけど、
現実を目の当たりにすると涙が止まらなくて
どうにかできないか考えるのに私は無力で
力をつけないと。
無力を嘆くなら努力して力をつけよう。



東京の感覚で長崎に帰ると、長崎はまるでテーマパーク。
時が止まった街と私とタイムスリップしてるよう。
あの頃と同じ街、あの頃とは違う人々、私の身体。
映画みたいな感覚に頭がフニャフニャになって
このまま長崎に居ようかと思ったけど、
帰ってやらないといけないことが沢山なので、東京に戻る。
どうにかしよう。
長崎に帰るという選択肢もあるけど、私はそれを選ばない。