二人目の男

男は二人いた。片方は嫌々連れて来られたようで、ぶうぶう文句を言いながらふて腐れていた。もう片方は物静かな男で、暇があれば座って本を読んでいた。早く帰りたいと文句を連ねていた男が帰った後、私は取り残された男と話し始めた。彼は書くことが好きで、自分の作品を印刷した小冊子を持っていた。お互い交換しよう、と言ってこの前のウミツバメを持ってきて沢山話をした。帰り際にいい友人になれそうな気がしたのにさっと目覚めてしまった。ふらふらとベッドから立ち上がり歩いた明かりの差すキッチンに彼の姿はなかった。夢だった。寂しかった。




友だち幻想―人と人の“つながり”を考える (ちくまプリマー新書)

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