ソロウ

どこにも行けずに座り込んで
擦り減った靴を投げ出して俯く
彼女の歌ばかり歌い続けて嘆く
彼はもう私に譜面を見せてくれない
数十年前に言われた父の一言を履いたまま
どこへ行こうとしているのか
私は3番線の東西線に乗ってしまったから
もう一度あなたに会いたいと思うけど
あなたは随分遠くへ行ってしまったから
話しかけても遠いね
線路越しにホームのあなたは橋を見ている
俯いて死にたいと誰かに語りかける
私が知ってる海老の絵のはなし
手渡せなかった紙袋のすすり泣き
あなたの心に会えないのならと
詰め込んで川に放り投げた