壁画の内側


過去でなく未来でなく
今ありのままを感じられたらいいのに
だけども世界にあるのは
幾数の歪んだツリーと歪んだ嘘の雨
心を通わせられると信じていた人さえ
みんな壁画になって背中を向けている
背中の向こうに何があるのか
隠されてこちらからは見えない
過去も未来も愛の言葉も勘違いだった
このまま誰も居ない街を歩き続ける
痛む喉にエナメルシンナーを塗って
音の無い満員電車に潰される頃
貴方が他の女を抱く姿を想像すれば
かち割れる頭がつり革にぶら下がる