強く、照らして


ここが家だよ、と
言われた部屋を追い出された先で
魂は倒れた体を見つめている
ゆすっても声をかけても動かない
かつて死んだ金魚たちのように
仕方がないので歩き出したら
人々は誰も姿に気づかない
転んでも泣き叫んでも知らぬふり
二回切り取ればもう泣かなくていいんだよって
抱きしめた
nowherenooneと歌う彼の髪飾りを借りて
飯田橋のカーブに沿って321
そっと忍び込んで黒穂を活けておいた
あなたが切り捨ててきた真心は
今重力に負けて細胞に覆いかぶさる
1本また1本と抜くたびにアイラインは
あなたのユビキノンを捻り潰して痕を残す
アンバー、ドーランが溶けるくらいに下手から強く照らして
溶けた靴底が楽屋の床に張り付いたままだと知らせてあげて