147snap



回し蹴りのエネルギーが双方から降りかかれば
身体はスピンして踊り場に跳ね上がる
ガタン、と音がして人がいなくなると
スローモーションで階段を転げ落ちる
グレーの窓に電話が鳴るのを聞いている
体を何度も打ちつけながら
落ちているはずなのに
苦渋に息を切らして足を振り上げている
巨人のように小人のように言葉が現れる
早く全身を舐めたいと腰が空を飛んでいる
片目は潰れ
視界の一部は欠けたまま
見えない人は見える人の心がわからない



147snapこの心に張った蜘蛛の巣を払って



大好きなレトロビルを落ちた分だけ登っていた
古いビルの正体は万博のパビリオン跡だった
屋上には古い物物が山積みになっていて
プールみたいなお風呂を覗いた後に
ターコイズブルーとアクアマリンの内壁の中
言われた通りにぶち抜いたケーブル、
なんてことはないね
壊れた両目を喜んで差し出した