蛇頭踏み潰したら舵をとれ

握っていた紙切れを、もう使わなくなったライターで燃やした。
ビニールコーティングされ燃えにくい様を、灰になるまで見つめていた。
あんなに大事にしていたのに気付けばどうでもよくなってる。
着ていた服をパサっと脱ぎ捨てるように、何もかも捨て、どこかへ逃げ出したい。
海へ行きたい。清んだ海の匂いがする場所で、ゆっくり海を見つめていたい。
追い詰められるまま壁に頭をもたれている。
早くこちらへ来なさいと、手招きしている声がする。
寄り添うようにヒタヒタと、足音が聞こえる。