脆い秘密


一人原宿をウロウロ。
彼氏様のライブ、定点観測の日。


人の居ないビルのトイレに入ると、中学生くらいの女の子が三人騒いでいる。
手を洗いに近づくと、辺りは血のトイレットペーパーの海。
メイクも髪も綺麗な格好と対比するように、鮮血したたる真っ白なトイレットペーパー。
頭を抑えられた女の子は、とても苦しそうな顔をして鏡を見つめている。

思わず、大丈夫!?って声をかけると、三人はオロオロと私に状況を話し始めた。
ドロドロと止まらない血、人の近づかないトイレ、
突き破るはずなのに、
途中で何かに刺さったまま
血を噴き出した耳。
ピアスの穴は最後まで貫通しなかったようだ。


誰とも知らない私の言葉に耳を傾ける幼い瞳は真っ直ぐで、まるで作り物の映像に感じられた。


道行く人々の姿、言葉、並んだマネキンの顔、入れ替わる色。
今の私たちが歳と共に失ったものを彼らは持っている。
どんなRSSよりも新鮮で、生きる力に満ち溢れている。
道は変わり、人々も変わるのに、
変わらないものは変わらない。
大ガード下の会話 ピアスの穴の開け方でさえ。
真っ暗闇の道筋では、大切なことは埋もれることはなく
重ねれば重ねるほどに浮き彫りにされていくから不思議なんだ。


生身であることを忘れた大人たちの腹のうち
言葉にならない思いが発酵して、腐敗臭で膨らんでいる。