何でもあるから

部屋でダラダラと形にならない仕事をしていた。
秩父、熊谷と掠る台風を見送り、所用を済ませに新宿へ。
西口、アニエスベーから横断歩道を渡って10歩
右を見ると、KEEPOUTの黄色いテープ(裸に巻くアレ)が張られ警察が数人
灰色の地面に乾ききらない血の海
twitterで調べると、飛び降り自殺だったようだ。
大雨台風の最中、小田急屋上から飛び降りたのだろうか。
それとも収まった日の差す新宿へ飛び込んだのか
誰かに押されたのか、違う場所から跳んで飛ばされたか
晃もこうして死んでいったのだろうか。
誰にも知られないように、最後は遺体さえ無く。
ニュースにもならない死の一時間後にはホームでも飛び降りがあった様子。
死も生も性も聖も受精も制服も姓も静も正も盛も世もここには何もかもある。
でもここにあなたはいない。
新宿西口の人混みをくぐり抜けて
汚いけれど静かなコーヒーを飲みながら音楽の中へ
自分のルートを通って逃げ場を確保したら次は抜け道を探している
小説のような泥沼から手を伸ばして
いつか、いつかこの手が届くように
見上げた空を諦めないでいる。