ただ今を

朝起きてLINEが来ていて、静かに泣いてしまった。
以前数度しか会ったことがない人の訃報だったけれど
火葬の話や、当時見たステージのことや話したこと
昨日くっきりと目に焼きついたtkさんの痩けた頬と死化粧
先に行ってくるね、と手を振りながら
運ばれる棺桶に座って向かっていくような情景
もう一度、死ぬことについて考えていた。


泣いている私に気づいたのか気づいていないのか
bは頭を撫でてくれて、そしてまた寝た。
ベランダで咲いたへちまの花が咲いたまま地面に落ちた
人は誰でもいつか死んでしまう。
誰かと言葉を交わせること自体がきっと奇跡的なものだ
父も母も、好きな人も嫌いな人も、いつか会えなくなる
tkさんは本当に、まるで今にも起き出して話しかけてくれそうな
以前の穏やかな彼の空気感のままにそこに眠っていたけれど
もう二度と彼と話すことはできない。
夕方新宿へ行く道の途中でbが笑っていた
辛いと言いながらとてもくだらないことで笑っていた
会いたい人に会えたら嬉しいし
明日はまた新しい人に出会う
悩んでいることや苦しいこと、楽しいこと、世間のこと
いろんなことはもう、なんだっていい
ただ今を、今を