恵方にて


冬の鬱に下半身を食わせていると
頭の内壁を真白に塗られるような快感に目眩う
恵方巻大の缶スプレーを吹き付けて
改修工事のざらざらとした壁に滴り落ちる液体の
下を見ればいつか見た顔があり
私が差した目線に気づいて面を上げる
ふと合う眼は私を突き抜けて反対方向を見ている
それはもうずっとずっと過去の昔の記憶の話で
ただの悪夢だと笑ってずり落ちた毛布を持ち上げる
思い出す眼はいつも私を見ているようで
思わず現実から目をそらす