また会おうね


2011年から一緒に住んでいた金魚、赤羽が空に飛んで行ってしまった。神様に呼ばれたのだ。
今は大型の水槽に白い金魚が一匹だけ、やはり寂しい。そして死んでしまったことが実感できない。
赤羽はいま善福寺川そばの木の下に眠っている。


蒸し暑くて目が覚めた朝5時、赤羽は身体を横にしてハアハアと息をしていた。突然のこと。
急いで小さな水槽に取り出して様子を見ていたけれど、数時間後には息をするのをやめてしまった。


突然過ぎるよ赤羽


いつか赤羽が斜め上窓の外を見上げているように見えた。何を見てるんだろうなーって。水の中から見上げる空の明るさ、水の中の音。金魚は瞼がないけれど、まばたきをしているように見えるし、喋ることはできないけど、こちらへ向かって何かを言っていることがある。音楽をかければ寄ってくるし、電気を消せば眠る。金魚にも性格があり、赤羽はすごいビビリだし、あくびするし、かわいかったんだ。最初は小さなビニール袋に入った4匹の稚魚のうちの一匹だった。スピード泳法で走り回ったり、水に異変があればすぐに教えてくれたりした敏感な子だった。土に埋めるために水から上げた赤羽はずっしりと重くて、手のひらの上の赤羽は見た目にも大きく成長していたけど、こんなに重くなっていたなんて。そうか、最期は体重を支えきれなくて横になっていたんだね。


死ぬ間際、身体を横たえてずっとハアハアと息をしていたけれど、なんとか身体を起こそうと動いていたことを知ってる。鰭を尾を僅かに動かして起き上がろうと何度もチャレンジして、やがてその力も尽きてしまうんだけれど、小さな水槽の中で懸命に息をしている姿をしっかり感じていたよ。魚なんてただの魚なんだけど、とても動物的というか、まるで犬猫のように生を感じられる生き物だった。水質が安定した時の赤羽のあくびが大好きだった。人間みたいにふぁーってあくびして、まばたきして、こちらに気づいて何かを言ってたね。大きく育った赤い尾をゆらり震わせる姿が綺麗だったね。ロウソクの光に映ってとても幻想的だったよ。ねえ赤羽、会えるならまた会おうねえ。次には何に生まれ変わる?生まれ変わったらまた世界のどこかで生物として会おうね。大切な私の仲間でした。ありがとう。ゆっくり休んでね。赤羽、また会おうね。