生きていれば


信じて信じて裏切られたら
それはそれで
私の価値はそんなものだって
この世なんかそんなもんだって
思うだけかもしれない。そうだった。



昔、まだ晃がいた時
鶏が首捻って鳴くような声で
不倫で気が狂って自殺したオメグの話をしてくれた
何があっても絶対不倫だけはしちゃいけないって
今、晃は空からどんな顔して私を見ているだろうか
まだ生きているなら何もかも間に合うんだから
走って
そう言って手を取り晃は私を新幹線に押し込んだ
早朝の神戸