干からびたれんこん

白く塗られて乾いて固まった男の子の掌の熱
痩せ細って肉のない祖母の腕のほのかな熱
無造作に広がった指をすっと揃えてくれる瞳の熱
ざわめいた心でまだ生きていることを知る


今日、目覚めた祖母は私が来たことを覚えていて
忙しかとにねぇってありがとうって何回も言っていたらしい
やっぱりわかってくれていたんだ
夜だったから眠かったのだと思うけれど

おばあちゃんのカバーされた手は介護ミトンというらしい
腕を動かしてミトンの手で撫でようとしてくれた
いつかまだミトンをつける前に、乾皮症でがさがさになってしまった祖母の手に
ヒルドイドを塗ったら、反応してくれたのを思い出した



日を重ねても重ねても私の心は干からびたれんこんのようで
お土産を山のように買う女上司二人の後ろをこそこそと歩きながら
辛子蓮根を1つだけ買った