あなたの舌に


人の不幸を探すあなたは
傷んだ心に呼応して鳴る鈴を
口に含んだまま歩き続ける
吐き出したくて仕方ないのに
鈴から溶けた金属で肝臓はボロボロ
鏡に刻まれた皺は元に戻らない
見つけた不幸で吐き出そうとしても
鈴は舌の口内炎に引っかかり激痛を
床に散らばった体の破片を蹴り上げ
鳴り止まないスマホを窓にぶつける
その間にも人々とあなたの距離は
随分と
突き離されていくだけ