HPMC


明日は会社を脱走して海まで行くので、遅くまで必死に錬金術の真似事をしていた。
1枚を2枚に、2枚を1枚に、1枚を3万円に、5-HTPカラー色調補正を窓の背に
最近ナンパしたのはist時代のデザイナーで、古い名前と途切れる男性の声が青山にあり
名刺の束を持って来てくれたr氏の笑顔を見て、ふっと昔の職場にいるような錯覚を覚えた。
それでも名刺の苗字はルヴァンだし、向かって左に欠乏してるmkさんはいないし
もしも夢が叶うなら私はもう一度mkさんの元で仕事したい。
仕事でないほうがいい、何もない場所に形あるものを形作りたい。それは夢だ。
古く美しかったaoyamatowerはアスベストを振り撒きながら工事を終え
太平洋不動産的な趣味と遺物とが入り混じり、その同居ぶりが逆におかしくて好きになった
トイレの排水管がぶっ壊れて異臭を放ったり、すべてのドアが重かったりするのは
おじいちゃんみたいに余命を4年残して静かにうなずく水たまりを飛び越えて外苑前
bから電話、4時間では語りきれない彼の2日間を砂のように馴らしながらベッドの上で
進めば進むほどに私の体は2号に入りきれないほどに膨張した自意識に押しつぶされて
1号着色どれを開けても何にも入ってない私はただの空っぽの耐酸性HPMCのようだ
踊り狂ってリローラ、何も考えなくて済むように紅景天が奏でるロディオラロゼアの子守唄