おあずけの夜

漏電したビルの非常階段で
死ぬ妄想を描いて
リアルに笑って
転げ落ちていくような人生の空回り加減を憂ってみても

陶器のようなphotoshopの谷間に挟まれて
月夜のお月見のようにPNGを積み上げて
ぱさついたファミマのサンドイッチで吐きそうになってる私を見て
酸化した脂に塗れたリチャード・ロジャースが笑っている

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女は膨れ上がった腹を抱えて寝室で暴れている
壁ひとつ隔てた6畳の和室で
電話が鳴ってるよ♪って
左手で声を聞きながら 無料情報誌に向かって顔射した
そういう
無数の精子が夜を先走る幾億の夜を想像しながら
メールフレーム神経衰弱
お昼のわたしが構築する
おあずけの夜

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演出した悲劇の皮をめくった裏側では
スゴビ演出でサボハニがピキューンってなってて
びんちょうタンがとぼとぼ新宿駅を歩いてて
手乗り文鳥が今日の止まり木を探しにゆく

枯れた百合の花の不思議な縁を
大好きなグールドのゴルトベルク変奏曲
新高円寺の低い空を
明け方の会話を
非常階段の砂嵐を
成長していく文鳥
手の平に乗せて
うまく飼い慣らして

むにゃー 寝る