眠っている鶏が胸の下で割れている卵を知らぬ気に

きみの仕事はいつも残っている
台所は火事になればいい
男はぶら下げておけばいい
あとかたづけは
ことばの中ですましちまいなよ
洗面器の水に両手をついて
産みたいと
肩をふるわせる日もあるにはあるが


清水昶 詩集「片目のジャック」より『草の根』抜粋