体に絡まって解き方もわからないままの紐の先をつい引っ張ってみたくなるけど
引っ張ったその力の拍子で後方に向かって倒れ落ちる気がしてまだ紐は背中にずり下がったまま
首吊って死んだ彼の紐の先は緩々と解けかけたまま千切れもせずに私の首に繋がっている
足首にはあの日解けなかった包帯の紐が薄汚れてへろへろになっている
ふと腕にぶら下がっていた紐の断面は綺麗に真っ直ぐで美しいほどで
これはきっと刃物でちょきんと思い切って切ったのだろうと思いながら
安心して
紐の先端を見つめている


[rakuten:ahiruya:10000088:detail]