瞼の裏に

揺れ褪せた緑の木々や唇
乾いた車にかかるホースの水
後から録音された浮ついた声
燃える髪や海の底、掠れた記憶
忘れたい言葉たち、口づてに
揺れる言葉、待たずして待つこと
腐っていく百合の花びら
瞼の裏に子宮が吸い付く
掌、シングルモルト、香草たち
視界に少しだけナイフを入れる
そういった感覚のこと
誰が何とかもうどうでもよくて
電話の相手はそんな私の話聞いてくれるかな
MC祭りも酒も名前も女も何だっていいのだ
好きなもの、好きな感覚
いつか誰かと話せる日が来るだろうか
誰とも共有できないことが孤独だろう