ターミナルケア



上司が気を遣ってくれて、数時間だけ長崎へ行った。
到着地長崎の天候は曇り。気温は24度です。
タクシーを飛ばして愛宕山を登る
無理を言って警備員さんに開けてもらうと
看護婦さんが部屋の電気をつけてくれていた。
夜の病院、最後を迎える病棟
ターミナルケア論は、大学の授業で
最初に満点貰った授業だったことを思い出した。
ターミナルケア、それは本人と家族のための心のケア
とある薬を飲むのを止めた祖母は
前回よりも少し意識がはっきりしているようで
誰にも言えない悲しい話を呟きながら泣き出した
私の頭を撫でるように包んでくれた
ミイラのように掌をぐるぐるまきにされたまま
言葉になってないんだからどうせわからないと
人々は言うかもしれないけど、そんなことないよ
祖母は言葉にならなくても声を出そうと試みて
帰ろうとする私を見て
動かない体を必死に起き上がらせ、声を絞り出し
泣きじゃくる私を見て、涙を流していた。
認知症が始まる前からおばあちゃんとは話をしていたんだよ
むしろ記憶がハイスピードで入れ替わるようになってから
東京の話をたくさんしてくれたんだよ。
言葉だけがコミニュケーションならば
異言語の人々とは分かり合えない?
そんなことはないよね。



次はいつ帰れるだろう、きっといつだって帰れる
大好きなおばあちゃん。また会いにいくね。