センマイの棘

センマイの棘に触れて火傷した、焼肉は夜を持ち上げても女は靡かない、その他雑酒?の苦味が口に広がる時母親は目を合わせない


全ては完璧に進んでいくのはあなたの頭の中だから、自分以外を排除すれば計算は完璧だったのに、あなたは自分の殻に閉じ籠り出てこない、


最早取り崩された団欒が小さくなってゆく、東シナ海は遠い新宿東南口に広がっている、この街に外国人墓地はあっても黒い雨は降ったことがない、この街には坂道が足りない、この街には行き付けのバーがない、家族がいない、あなたに会えてもあなたからの便りはない、身体は美しいのに顔のないこの街には私の居場所がない


喉に羊を詰まらせた蛇が体内に入り混んでくる、蛇は取り逃がすまいと、かしこの命を噛み殺していく、弦は胃酸に溶けている、酸欠で蛇が倒れ込む、全身に鞣し革が巻き付けられた泥は乾ききって蝦蛄が死ぬ、全身に言葉が溢れて記憶に酸化して膨張して私は喉から込み上げる言葉を書き付けないと寝床に帰れない、


金網のセンマイの棘は別れてしまいそうな私たちの傷付け合う言葉より鋭い、すれ違う黄土色の女の憎しみの笑み、座り込んだキャバ嬢の真っ白な胎内の子供、東口の柱に隠れて男女が明日を明らかにする、切っても切っても言葉が溢れだす、空気を吸い込めば吸い込むほど私が電車の中で窒息するのは、昨日愛したあなたから返信がこないから。