手につけたものは

まずは彼らを説得してみよ。たとえ彼らが承知しなくても、それが正義の道理に導かれることならば実行に移せ。しかし暴力を用いて立ちはだかる者があれば、歓迎すべきそして苦痛を伴わぬ別のことに身を翻し、却って今の妨げを別種の徳のために利用し、もともとおまえは保留付きで欲求したのであること、不可能は望まなかったことを忘れてはならない。いったい[おまえの目差していたものは]何であったのか。何か[保留付きでの]そのような欲求である。それならばおまえは手に入れることになる。もともとわれわれの手につけたものは実現されるものなのである。

マルクス・アウレリウス「自省録」第六巻五十