無限回廊のカラクリ

じわじわと眠気が襲う明け方の夢現
灯りが消えて朝になる夜の境目に
この目で確かに見てしまった
ほんの一瞬逆戻りするループ
エッシャーの窓に張られたセロテープ
まるでミュージカルのようにホームレスは踊りだし
暗闇の遊歩道に暗幕がかけられる
その場に居合わせた人々は、せーので目を閉じる
酔ったふりしてそっと目を開くと
大きな時計のハリが逆回転するのが見えた
日付は更新されているのに、なぜか前へ進んでいかない
時が止まった町は、時が動くことを拒んだ人々の町
自転車のカゴに捨てられた文庫本のような日常から逃げ出す為に
現実を忘れたこの一瞬が永遠に続いていくようにと願う怠惰の楽園


無限回廊の継目から伸びる手に
足を引っ張られる前に明け方
小さな剣士を引き連れて
迎えに来た黄色いminiに乗って
腐った町を脱出した!