あなたの言葉の杜切れ間を


帰宅、ポストに入っていた封筒を見て思わず声を上げそうになった。
11年前、現代詩という世界に足を踏み入れるきっかけとなったその人、
大切な大切な私の師から手紙が来ていたんだ。
階段を登る間もなくスグに開封し、涙がぶわっと溢れそうになった。
変わらない筆運び、穏やかで優しい言葉、懐かしい風がすっと吹き抜けて
この十数年間の苦しみが全て洗われるような安らぎに包まれた。
手紙、冊子、中也記念館グッズまで・・・先生、有難う御座います。
山口、行かなくちゃ。


仕事もプライベートもみんなまだまだだけど、
それでも、少しずつ迷いみたいなものは消え始めている。
少し前には気になってしょうがなかったものも、
今はもうどうでもいいというか、目にも入らない。
大切なこと、目の前からは消えていても、心から消えることはない。
過去なんて焼き尽くして灰にして、全部風に飛ばしてしまえばいいんだよ。




彼女が捨てた言葉を拾って、拭って洗って壁に挿す。
疲れた心で頭の中で、あの人の言葉を繰り返している。