ファストストーリー

手の鳴る方へ漂わせようと思いながら
帰宅した23時、pちゃんに呼ばれてやっぱりAへ
濡れたままの髪の毛は強風の暖房に舞い上がり
pちゃんは楽しそうに私の髪を触っていた。
私は私の言いたいことや望んでいることを
言えなくなってしまう、その秘密を
目の前でbが言っていたような気がしたけれど
スイッチの切れた金曜真夜中の頭には
単語ひとつ覚えていられなかった。
bは早々に私の知らない私の言葉を見抜いて
そしてたまに余計なことを言う
明け方、たちばなの揚げ出し豆腐はとても美味しくて
pちゃんはあまりに若い若い笑顔溢れる青年すぎて
タイムラインに閉じ込めておきたい可愛らしさだった
本の一節は一晩しかもたないファストストーリー
もう何ひとつ意味を持たない、だから意味も持たせない