ペストリー

釣り@埼玉某所
少年がやってきて「お姉ちゃん何年生?僕4年。」と言うので
「社会人14年生だね」と答え、少し一緒に釣ってた。
援護射撃、と言いながら餌をまいてくれた。
終わり際、振り向くと彼は父親と帰ろうとしていて
「またね、風邪ひかないようにね」って言ったら
「うん、お姉ちゃんまた遊ぼうね」と返してくれた


風にふかれるように体を預けてどこかへ行く
結局のところ一人ただ黙って水面を見つめて過ごす
誰かに連れられてどこかへ行くときはいつもひとり
失った肉片の穴にはもっと違う色のペーストを流し込んで
その落とし穴にはまった人々を黙って見て笑っている
私が何かを思い出し、一昨日の悪夢を過去に重ねて
今をどれだけ再定義しても事態は何も変わらない


ルアーが手のひらに刺さりひいひい言っていたら
フリー仕事のことで携帯がびゅんびゅん鳴っていた
慈善事業でもなんでも知らない人々の喜ぶつくりものを
強い意志を持って形作られていくゲル状の何かを
誰にも見つからない様に変えてペストリーのように織り込む
すると逆にどんどん何かが形作られていく不思議
いろんな人が私のつくりものを気に入ってくれる
そして「なぜかよくわからないのだけれど」と言う人もいる
いろんなひとのいろんなやりかたを見つめている
そして時々さまざまな誰かが腕を広げて抱きしめてくれる


いつか私は死んでしまうこと
少しずつ形を広げつつある前兆のこと


心の奥のある一定の地点までしか届かない苦しみのこと




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