顔のない暮らし

今はただ静かに顔のない暮らしをする
首はもげてどこかに飛ばされてしまったのだ
目はない、それでも見えている
風が見える匂いで見える
視線が注がれているのを感じる
世界を体で見ている
耳はない、それでも聞こえている
騒音でそこは渋谷だとわかる
「すみません」女の人の声がする「すみません
今日はどこへ行きますか」か細く申し訳なさそうな
「何時間くらいとめましたか、調査しています」
口はない、それでも話している
「3時間くらいですね、駐めてから」
語りかけている叫んでいる空に向かって
くだらなさにツイートして
呼びかけているあなたに口のない体で
would you please reply ASAP in order to confirm the Line Availability.
あのときわたしという首を捨てたこの体で