鏡花

rottenlily2006-03-08

昨日は映画を見にいった。
桜木町のガード下、猫が5、6匹戯れていた。
いずれも片目が目やにで閉じていた。
その中に1匹、両目も目やにで潰れ、
鼻から黄疸色の鼻水を垂らしている猫がいた。
水とえさを近づけてみても何も反応しない。
今にも死にそうな猫。
女性が3人ほど遠目から「目がつぶれてるわ」「かわいそう」そういって立ち去っていった。

「かわいそう」

その言葉は流暢に、そして重みのある言葉だ。おまえを助けてあげたい。そう、でも現実うちには2匹猫がいる。例え病院に行ったところで、無職の私には今、治療費を出すことは難しい。かと言ってこのまま置き去りにするにはあまりに胸が痛み過ぎた。

家人が近くのコンビニで餌や水、ビニールシートを買ってきていた。「保護しよう」ビニールシートを巻き付けて、ガムテープで留める。ミィミィ声を出す猫。ビニールシートにくるまれて、タクシーで動物病院へ直行。

原因は感染症と脱水症状。優しい先生で、レントゲンと血液検査を無料でしてくれた。胃も腎臓も肝臓もやられており、脱水症状でデータ以上にかなり厳しい。いつ死ぬかもわからない。私は言葉が出なかった。

うちに帰り、この子のばい菌や病気が先猫ライカと夏目に移らないよう別室でケージを組み立てた。ペットシーツを敷き、餌と水を準備する。しかし猫は動かなかった。それでもシャワーで洗ってあげて撫でてあげる。名は鏡花と名付けた。

朝目覚めたら、家人と鏡花がぐっすり寝ていた。

例え手の施しようが無くなっても、この子は助けたい。今後どうなるかわからないけど、優しく看病してあげようと思っている。脱水症状を起こし、感染症にかかり、死にかけた猫。日本中にいくらでもいることだろう。

厳しい冬を乗り越えて、がんばってきた猫たちにも、そろそろ春がやってきますように。