飛去来のカーブ

ロンドン模様のマフラー少女が週末のドライブを取り付ける間に
新宿横浜間でメールは20通交わされる
さっき清掃した車内にはもう榎木茸が生えている
真っ白なコートを着た厚化粧たちがしっかりと足を踏み締める
その他雑酒?&柿の種は賃金カットの憂鬱コンボ
榎木茸は皆菌糸を開いて
携帯の液晶を光らせながら
ゆらり


西大井の県境には大きなカーブが一本


朝、横浜駅横須賀線ホームでしっかりと勢いを込めて放たれた飛去来が東神奈川の最終カーブを火花散らして戻ってくる夜
湘南新宿ラインが横浜に到着するほんの三分前
菌茸の先から足がにょきにょき生えてきて
榎木茸たちが港町に帰ってくる
黄なびた榎木茸が改札を通り抜ける


明日給料日だから今夜はうどんにするから、麺だけ買ってきてください


昨日よりも文字数の多いメールに愛を噛み締める
この港町にも人々が寄り添い生きている


キラキラと菌糸を散らせながら
長い長い飛去来のカーブを描きながら
幾千の榎木茸たち