鎧の町

rottenlily2010-03-12

また海の無い街に来てしまった
低い曇り空の四方どこにも海は見当たらない
デフレパードが描いたフラストレーションの塊が
指し示した方向にはお台場の芝生
港の光かと思って水面を覗き込んだら
絵画売りの女の説法がLED色にキラキラ輝いていた


真っ白なシャツは消毒薬の匂い
水色の水をしたプールのアイランドミスト
循環するホテルには眠るための半袖しか持ち歩かない
逃げ損ねた鎧の町から幾数の手が招いている
この椅子に座りなさいと追随する人々が笑っている
鎧は海風に錆びる事がないようにうまくコーティングしてある
お金が無い人々は鎧が錆びたジスキネジア
海の無い海風が容赦なく精神を狂わせる


世間の積み木を献上ごっこ
わたしもあなたと同じ顔
陣取りゲームのふりをして
乾いた笑いで繋ぎ止めてきたものは?
UFOCLUBで斜めを向いた
逃れられぬは過去の闇


淡水魚が描く黄色いカーブに揺られて
3度目の鍵をマイセンの空き箱に押し込んだ
答えられない、問いを胃の奥に詰め込みすぎて
過去も未来も無い部屋でさめざめ泣いた
でも何もいらない、白い花のように笑う
あなたの手から紡ぎ出される海の映像を繰り返し
繰り返し新宿の排水溝に投影する
夢か現実か境目のない世界に漂って泳ぐ
海の無いこの海で、あなたが幸せなら



多分ね、2003年頃、2004年頃、すれ違っている
またいつか会えたらいいね、