「一本道」

昨夜、さあ寝ようかとしていたら
大学生の弟がスカイプでオンラインになったので話しかけてみた。
バイトのことや大学のこと、長崎のこと、勉強のこと、将来のこと、
どこか懐かしいその悩みを聞いているうちに
気づけば2時間近く経ってしまっていた。
弟に伝えたアドバイスは、まるで今の自分に話しかけているような
そんな言葉もちらほらと並んでるww
弟とのやりとりは、10年前私がMSNメッセでやっていたことと同じ。
いろんなことを考えながら歩いていく私に、晃が話しかける。
当時、晃はどんな思いで私を見ていたのだろう。
そして今の私を見て、何を思うんだろう。
世の中も街も人々も何も変らない。
東口も高野のマスクメロンの香りも
点々と並ぶ地下歩道の鏡に映る私自身でさえ。
古きが終わり、新しい時間は勝手に動き始めてる
私が過去を過去としてうまく処理できなくても。
難しいことはハンカチにくるんで、ちょっとしまっておけばいいの、
いつかまた晃とお話することがあったら、その時、恥ずかしくないように、
ぽちぽち頑張るから、だめだめでも頑張るから、
元気にやってるかなぁ。
晃、今年も6月になるよ、もうすぐ6月になる。


今年も6月がやってくる。

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僕は今 阿佐ヶ谷の駅に立ち
電車を待っているところ
何もなかった事にしましょうと
今日も日が暮れました
あヽ中央線よ空を飛んで
あの娘の胸に突き刺され


どこへ行くのかこの一本道
西も東もわからない
行けども行けども見知らぬ街で
これが東京というものかしら
たずねてみても誰も答えちゃくれない
だから僕ももう聞かないよ

友部正人「一本道」