彼女はリュシアンをひっくりかえして、くすぐり、「ちっちゃなお人形ちゃん」と言った。リュシアンは夢中になって、気楽に笑い声をたて、くすぐられて苦しがった。彼は自分が小さな人形、大人のための、かわいい小さな人形であると考えた。彼はベス夫人が彼を裸にして洗い、ゴム人形のように、ちっぽけな揺籠のなかに、ねんねさせてくれたらいいがと思った。そしてときどき、ベス夫人は「ものを言うかしら、わたしのお人形は」と言って、急におなかを押しつけた。そのとき、リュシアンは機械人形のふりをして、ちぎれるような声で「ぐうー」と言った。そして二人とも笑った。
