「 自己防衛よ、 自己陶酔よ、肋に」

rottenlily2010-07-11

そう、今日は仕事の打ち合わせで恵比寿へ行ってきた。高円寺駅に向かう途中で投票をしようと思っていたのだけれど、近所の投票所には30人を超す長い行列。これまで投票してきた中でこんな光景は見たことがなかったから、少しびっくりした。小学校の外の道路まではみ出して次々に並んでいく人々の姿。池袋で見たラーメン店の行列みたい。私は約束の時間に遅れてしまうので、並ばずに帰りに投票することにした。恵比寿駅では「ゴーヤとグァバのジュース」っていうよくわからないジュースを注文し、スポーツドリンクばりにゴクゴクと飲み干して、蒸し暑い中ぽてぽて歩いていった。



先日紀伊国屋書店本店前で、高校の頃好きだった他校の男の子に偶然会った。同じく上京して都内に住んでいるらしい。筋肉質なのに線の細い綺麗な体のラインはそのままに、目の大きなくっきりとした顔立ちも変わらず、佇まいは落ち着いた青年に成長していた。あの頃、ほんの数週間だけ彼と付き合っていたことがある。公園のベンチに座ってコーヒー飲んでいっぱいおしゃべりしていた。男の子なのに女物のロングスカートを着こなしたり、難しい本の話や不思議な音楽を教えてくれたり、彼は別れた後も強く心に残る人だった。


それだけならまぁ、そのままセンチメンタル日記のネタとして書かれるだけのことだったんだけど、この話には続きがある。


あるカメラマンの写真展に行った時に知り合った女性がいる。何歳か年下だったと思う。その夜はお客さんまとめて数人で飲んで、その娘とも少し話をして、特に親しくなることもなくそのままだった。ある日友達から1通のメールが来る。質問形式で書かれたそのメールは、私がそのカメラマンの子と付き合っているのか?という内容だった。当時私は横浜で今の彼氏と同棲を始めたばかりだったから、そんなわけないじゃんって普通に返信。すると友達は、私がカメラマンと付き合っていると、あの年下の娘がみんなに言い伝えていると教えてくれた。「意味わかんねーよ!」って仕事中、誰も居ない和室の座椅子の上で足を投げ出して、むせ返るような柔軟剤の香りに包まれながら(当時はまだ和室に在庫を置いてたw)、その娘の奇行の数々を友達から聞き出した。人当たりの良さそうな可愛らしいその娘については、周りの友人も少し困っているらしい。いつもは普通なのに、ひとたび自分の気に入らないことがあると、あることないことなんでも妄言しちゃう。色々なところに顔を出すから情報も沢山持っていて、確かに有益な情報も教えてくれるのだけれど、嘘か本当か最近ではもう信用したくないと友達は言っていた。その後仕事はダウニー地獄に突入して激しく忙しくなり、横浜に住んでいたこともあり、私はそういった催しにも中々行けなくなった。だから、その娘の話もmixi経由で聞く程度になった。疎遠になったはずなんだ。


話を戻す。


紀伊国屋書店本店前でばったり再会したその男の子に、結婚しているかどうか聞いたら独身だと言う。彼女は2週間ほど前に出来たばかりで、まだ全然長く付き合ってないけど、と笑っている。どんな子なのさーってセンチメントにドキドキしながら聞いてみると、どうも特徴がひっかかる。その出来たばかりの彼女というのは、と根掘り葉掘り聞いてみると、ううむ、どう考えてもその娘だよ。あれか!よりによって!あの数年前に面倒くさかった娘じゃん。年齢も住んでる場所も名前も趣味も。唖然とした心を抑えつつ、仕事の時間も迫っていたのでそのまま笑顔で別れた。好きだった男の子の彼女がそんな感じだった時のあのなんともいえない気持ち。とりあえず唖然としすぎて時間もなくて連絡先を交換するのが面倒で、mixiキーワードだけ伝えておいた。私のmixiキーワードは、アレだ(知りたい人はmixi参照)。いや、誰も悪くない。過去は過去だし、その娘もきっといい娘になったのだろう。なんとも複雑な気持ちで会社に行き、ソッコー会議に突入した。


過去は過去でしかありえないし、その人が過去に何をしていようがどんな悪いことをしていようが今の参考にはなるかもしれないけど、過去は過去のままなんだ。例えば私なんて数年前は鬱病で死ぬほど暗くて、本気で笑い方を忘れてしまって、当時のプリクラなんて完全に目が死んでる。街中で顔を上げるのが恐ろしかったし。だけど今じゃ随分と回復した。薬飲まなくてもなんともないし、凹むことはあっても当時のようにはならない。人ごみは面倒くさいけど、今は対処法を知っている。当時のクセが少し抜けない時もあるけど、無理しないように笑顔で過ごしていられればと思う。人をみるとき、その人が過去にどんなことをしていようが、それだけで全部決めちゃいけないんだ。私が1秒1秒時間を過ごすように、他の誰かも1秒ごとに変わり続ける。だから、私はそのことについてはなんとも思わない。その娘だって色々変わったのかもしれない。好きだった男の子だってずっと変わってしまったのかもしれない。私が判断していたのは過去の二人だ。今の二人じゃない。



過去を振り向いた瞬間に老いは全身に回る。昨日のことで悔やまない。老いていく自分を投げ出さない。私が好きだった女性や憧れる人、大好きな先輩や尊敬する人、みんな私と違う価値観の中にあってカッコイイ。相変らず私はダメダメなのだけど、どうしても自分でいたい。これだけは変えられない。だから、過去は過去としてそっとしておく。明日またいいことがあるように。もっと違う自分に変わり続けることができるように。誰がなんと言おうと、誰がどうであろうと、私は私なんだ。いつも前向きに、小さなことに気がつけるように。笑顔でいよう。