アラバスター

妹が長崎から来ていた。
彼女はビールが好きで、私を美味しいビールのお店に連れてってくれた。
美人で社交的で友人が多い彼女は私と正反対で
いつも彼女がうらやましいと思っていた。
同じように、妹はずっと私のことがうらやましいと思っていたそうだ。
相変わらずの彼女は定まらず、それでも反省しつつ
何店舗か飲み歩いて帰宅、うちに泊まって早朝帰って行った。


私がそうであるように、彼女はどの彼女とも違う
いつか私を私として見てくれる人はいるだろうか
いるかもしれない、いないかもしれない
何も言わずにどこか他の彼女と結婚したり
知らない間に他に彼女を作っていたりするものだ
だからもう私は私が私だと思っている私などいらない
器だけで、透明なガラスの姿で給仕していればいい
それでもいつか、私のグラスに入ったその飲み物に気づいてくれる
人に出逢えるならば、目を潰して、アラバスター
もうあんなに辛い思いはしたくないから