侵入

渋谷→四ツ谷国分寺

 

 

右指を切ってしまって、放っておいたらうまく治せずにぐんぐんと熱を帯び始めた。中指の中央から血管に沿ってみるみるうちに熱が広がっていくのがわかる。ほんのりとチークで線を引いたように手の甲には赤いラインが出来ていて、痛みが全身に回る感覚と微熱で仕方ないので、忘れ物を取りに戻ると告げて薬を飲んで中央線に飛び込んだ。渋谷のスタジオは子供たちが多いせいか菌が強力な気がしてる。

 

it氏土曜日最終日、本当に楽しかった。ちゃんと踊れたら体のラインをちゃんと見たくなる。ヘソ見せて踊れるようになったのはit氏のお陰だ。指先が鳥になる感覚、手が柔らかく動く感覚、踊るのがとても楽しくて昨日も明日も忘れてしまう。動画で見ても意外にちゃんと出来てて安心した。心から感謝。そして、もっと動けるようになりたい。

 

 

別物だという人もいるかもしれないけど、私には踊りも言葉も音楽もお酒も仕事も同じ場所にある。ドアを開けて何かアンバー色の液体の中に飛び込む感じ。がぼっと泡を吐き出し待っている。それは三人称で動く感覚。

 

早朝から夢を見て4度眠り、外に出てユービックを握りしめている。四ツ谷駅で捻り出したら列車が全面オレンジ色になって無数のカボチャから芽が出て人になって歩き出し南口へ向かう。傷口から他人の夢が侵入し見知らぬ顔を見つめている。その手の感触を感じている冷たい長い指は心が化膿し膨れ始め太さが変わり暖かく固くなり記憶にあるその手は父親の手だ。傷付いて腫れた私の手は父親の手に似ていた。